[ 朱い衝動:1 ] 泣き叫ぶ人々をなぎ倒し、 炎に紅く、朱く照らされながら、 オイラはソコに居た。 身体の中から溢れ出す衝動を オイラは、抑えられなかった。 本能的に殺し、噛み砕き、 血と肉を貪る。 オイラは、 こんな事をしに来たんじゃない。 オイラは、オイラは――。 † 飛び起きると、何処かの小屋の中。 住人がオイラに気付いたのか、 食事を目の前に置く。 「何か嫌な夢でも見たか?」 そう言われ、オイラは 頭に載せられた手を、 発作的に威嚇して離させる。 「カッカすんなよ。」 そう言われても無理だ。 オイラは、アレを止める為に、 生きているのだから。 ここにも長くは居られない。 あんなのは、もうしたくない。 「もう行くのか。つれないねぇ。」 そう言いながら煙草に火を付ける家主。 オイラは気にせず、そこを出る。 当てはない。 だけど、一人で居れば、 過ちを犯さなくて済む。 二度と、したくない。 オイラは走り出し、 コレを何とか出来る場所を 探し続ける。