[ 小さな願い：2 - Long Version (♂×♀のバアイ) ]

「１５時、過ぎちゃったなー。」
「誰のせいだと……。お陰で、ランチタイムが終わっちゃったじゃない！」
「まぁまぁ。食べるのなんて、何でもいいよ。」
「よくないっ！」
拗ねる清をなだめながら、ファーストフード店で昼飯を済ませて、近くの公園をぶらぶらする。あの後、数えた限りでも５〜６回はしたかも。ちょっとしすぎたかな……後で謝っておこう。

陽も暮れてきて、夕日が目に眩しく映るようになった頃、清がベンチに座る。俺も隣りに座り、話す事も思い付かなかったから、気になってた事を聞いてみた。
「あのさ、清。俺、清に……何か出来てる事あるのかな。」
「何かって……？」
そう言うと、俺は清の肩に手を回す。
清は一瞬、人目を気にしたが、もうすぐ夜空に変わる頃。人影も無いのもあって許してくれたようだ。
「結局さ、俺。清に頼りっぱなしだから。自分で、『おいで』とか言ったくせに。」
そう。夢の中の彼女は、清だ。あの時、俺は精一杯の気持ちを込めて言ったつもりだ。だからこそ――
「いいの。炎紫が居てくれれば。私は……他に何も要らないから。」
それだけ言うと、俺に寄り掛かる。俺はちょっと恥ずかくなり、肩へ回した手の力が少しだけ強くなる。
「……いつまでも、一緒に居ような。」
「うん。」
静かな公園を、心地良い夜風が吹き抜けた。