[ 草の匂い:5 (♂ x ♂) ] 「ただいまー。」 「シン、おかえりー。」 「……って、またゲームしてるのか。」 「え。い、今始めたばかりだよ……?」 「ほほぅ。じゃあこのプレイ時間は何だ?」 指差した先には、 『プレイ時間 30h 30m』の文字が、 画面上に映っている。 「30時間30分って、 徹夜しないと出ないよな、これ。」 「つ、付けっぱなしにしちゃった、とか?」 「じゃあ何で、俺が出掛ける時に 始めたゲームが、もうラストシーンなんだ?」 「えっと……。」 「えい。」 ゲーム本体のスイッチオフに。 「……あーっ!!」 「やりすぎ。」 「だからって、消さなくてもいいじゃん!」 「じゃ、仕事してきた俺は何なのだろうな。」 「うっ。ごめんなさい……。」 「まぁ、それは置いといて。」 荷物を置いて、ガクの隣に座る。 「久しぶりに、これから出掛けないか?」 「どこへ?」 「……あの場所に。」 「大丈夫なの?」 「マネージャーに連れて行って貰うから、 大丈夫だろ。」 「あー、あの人か。僕たちの事知ってるしね。」 「そういう事。」 「宿とかはどうするの?」 「それも手配済み。」 「ん〜、じゃあ行く。」 お互いに準備が終わってから、 マネージャーの車に乗り込む。 「ガク、久しぶりだな。」 「はい、お世話になりっぱなしですいません。」 「いいって。いつも通り、シンの我が侭だしな。」 「それは言いすぎじゃない?」 「まぁまぁ。俺もシンも、世話になってるって事で。」 「じゃあ出発するぞ。」 「うーい。」 「だけどさ、シン。何で急に行く事にしたの?」 「まぁ、行けば分かるよ。」 「……ふーん。」 そして、俺たちはあの時の場所に向かった。