「……ただいま。」 部屋の電気は付いてなかった。 「カーゴ?」 電気を付けると、カーゴはベッドで丸くなっていた。 しばらくして、ベッドからカーゴがよろよろと立ち上がる。 「ロウ、ごめんな。」 そのまま、俺を強く抱きしめる。 「……いいよ、もう。」 俺もカーゴを抱きしめる。 (これで、良かったのかな……。) その夜はお互いに手を握って、温もりを感じながら眠りについた。 † 朝、起きるとカーゴが居なかった。急いで玄関を見ると、靴もない。 (昨日、出掛けるって言って……なかったよな?) 少し不安になると同時に、 俺は自分のある気持ちに気づいてしまった。 (何で、居ないのにホッとしてんだよ。) 自分の拳を血が出るくらい握りしめる。 それでも怒りは収まらなくて、俺は左手で自分の左頬を殴った。 (もう、ダメなのかよ。) 違うって信じたい。信じたい自分と、諦めてる自分。 考えれば考えるほど、俺は分からなくなっていく。 「ただいまー……って、ロウ?」 「……おかえり。タバコ買いに行ってたのか?」 「あぁ。昨日、ロウが寝てる時に、あんま寝れなくて、 吸ってから寝たんだけど、買うのすっかり忘れてて。……どうした?」 「いや、何でも……ない。」 = ……1にモドル =