「じゃ、母さん、入学式行ってくるよ。」 「界杜(かいと)、気を付けてね〜。……特に校長先生には。」 「……へ?」 何か納得いかないまま、入学式が行われる「牛タン学園」へ向かう。 途中で幼馴染の系羅と合流した。 「よぉ、界杜っ♪」 「だーから痛いって、叩くの止めようよ〜。」 「や・だ♪」 「はぁ……。」 小さい頃から、系羅(けいら)との挨拶はいつもこんな感じ。 毎度のことながら痛いんだけど、最近は更に痛くなってきた気が……。 「あ、おはよ、界杜。」 「うん、おはよ〜♪」 都馬堵(とまと)とも合流し、教室へと向かう。運がいいことに、 3人とも同じクラスなので、迷う事なく同じ教室に向かう。 席に座ると、すぐに校長の放送があり、体育館へ。 「えー、我が校では、独自の規則を取ってる為、  他の学校とは違う所が多々あります。皆さんはもうご存知だと思いますが…」 ……やっぱり説明が長い。欠伸が出てきたよ……。 隣を見ると、やっぱり系羅は寝てる。丸まって寝てるのは可愛いんだけどな〜。 たまに尻尾を踏まれて怒ってるけど。 都馬堵は……真面目だからしっかり聞いてるや。少し眠そうだけど。 長い説明をうつらうつら聞いた後、高校の説明を聞いて、入学式は終了。 皆バラバラと教室に戻っていくので、僕らも戻る。 「あ、それと。教室の壁に名前が貼ってあった生徒は、  後で校長室に来なさい。……時間きっかりに。」 (……そういえば貼ってあったなぁ……。僕の名前も書いてあったし……。 系羅と都馬堵は無かったけど。何だろう?) コンコンと校長室のドアをノックしてみる。 「校長せんせー、来ましたけど?」 「誰かね?」 「1年の界杜ですー。」 「……入りたまえ。」 とりあえず入って、校長室の中をぐるっと見てみる。……趣味が悪い。 拷問器具のようなのや、色々な西洋の武器が並んでいる。 「あのー、何でしょうか?」 「ああ、ええとだね……。」 くるっと校長が椅子を回してこっちを向くと、 何だか品定めしてるよーな顔に見えたので、少し怖くなってきた。 「用が無いなら、戻りますけど……。」 「用なら……キミ自身にあるから。」 じ〜っと見た後、すっと抱きかかえられて、校長室の隣の部屋の鍵が開く。 「あの〜……帰って良いですか?」 「駄目。これからなんだから、な……。」 ぽいっと柔らかい大きなベッドに僕は投げられ、校長は部屋の鍵を閉める。 「えーと……これは??」 「なぁに、優しくするから大丈夫さ……。」 ぺろっと鼻先を舐められ、ちょっと寒気がした。 「校長……?」 「ん?」 「帰らせてください……」 「駄目だ。」 鳴いても駄目らしい。校長は服を脱ぎ始めてるし。 「……さて……。」 身体を撫でながら、脱がされそうになるので、抵抗してみる。 「あんまり抵抗してると……。」 ふんっと強く襟首を掴まれて睨まれた。……怖い。 泣きそうになりながらも、抵抗せずに脱がされる。 「うぅ……。何で僕だけ……。」 「願書見た時から、目を付けてたからな……。」 上着を脱がされ、ぺろっとお腹を舐められると、ビクッと鳥肌が立った。 「ゃん……校長……せんせぇ……。」 ズボンも脱がされそうになるので、必死に抵抗する。すっごい鼻息荒いし。 「ん、大丈夫。優しくするからな……。」 抵抗むなしく、ズボンも脱がされ、あらわになった体を撫でられる。 「あぅぅ……。」 もう抵抗することも出来ず、ただされるままに撫でられ続ける。 「さて……。どうするか。まだ初日だしな……。」 「じゃあ、帰してください……」 「却下。」 「くぅん……。」 (優しく身体を撫でられるだけなら……良いかなぁ……。) 感覚がズレてきた。何かもーこのままでも……。とか思ってたら、 段々と触る所が下になってきてないか!? 「校長……せんせ?」 「これから、これから……♪」 すっごい楽しそうだ。……早く帰りたい。校長は更に鼻息が荒くなって、 段々と……何か僕に垂れてる? ちょっと首を上げて見ると、何か校長の……から垂れてる気が。 「校長せんせ、ソレ何?」 「……。」 聞いてないし。何かだらだら垂れてるし。べとっとするし。 「はぁ……はぁ……。」 「うぅ……。」 後ずさりしながら、これからどうしようか考えてると……。 何か地響きが聞こえてきた。何だろう? 「えいやぁっ!」 鍵の掛かったドアが吹き飛んで、誰か入ってきた。 「……校長。そこら辺で終わりにしないか?」 「ぎくっ……。」 「あ、米兄じゃん。」 「よ。界杜。」 軽く手を上げて米羅(べいら)兄が挨拶してきた。良く見ると系羅や都馬堵も居る。 ……って僕裸じゃんっ!慌てて服を探すと……あぁ、すっごく遠い。 部屋の隅っこにある……。とりあえずベッドの毛布で大事なところは隠す。 「米羅も可愛がってあげたのに……くすん。」 「デタラメ言うな。デタラメ。」 軽く蹴られる校長。校長は、米兄が来たから諦めたのか、服を着始めてる。 僕の服〜……。まだ部屋の隅のまま。 「大丈夫か?」 「うん、一応……。」 小さく頷くが、裸なのもあって恥ずかしくてまともに受け答え出来ない。 「あの……米兄、制服……」 「ん?あぁ、そらよ。」 投げて渡されたので、とりあえずベッドの中で急いで着る。 都馬堵も居るから、裸では応対したくないし。 ……って、べとっとしたままじゃん、そういえば。 気持ち悪いけど、しょうがないか……。はぁ、初日なのに……。 「さ、じゃあ教室に戻るぞ。」 「待ってよ〜。何かベトベトしたままだし……」 「……ベトベト?」 米兄が校長睨んでる。校長は一生懸命首振ってるけど……。 何か僕ヘンな事言ったのかな? 「シャワーでも浴びた方が良さそうだな。」 「うん……。」 米兄に促されるまま、シャワー室へ向かった。 さすがに都馬堵は来ないけど、系羅は一緒に来てた。 僕はシャワーを浴びて体を洗いながら、これから大変そうだなぁとも思った。 あの校長……また狙われないといいなぁ……ちょっと怖いし。 一通り身体を洗い終わった頃、系羅も入ってきた。 「あれ、米兄は?」 「校長のトコ行ったみたいだぞ。」 「ふぅん……。」 系羅もついでだからシャワーを浴びるみたい。僕の隣の個室を使ってる。 「じゃ、僕は先に出てるね〜。」 「ん、ちょっと待ってくれ。」 「なに?」 系羅がドアを開けて俺の個室に入ってきた。何だろう? 「まだ洗い終わってないじゃん。」 「え、終わったよ??」 「ココが……。」 いきなり系羅が抱きついて、僕のを弄り始めた。 「きゃぅっ!……学校でそゆことしなくたって良いじゃんー!」 「学校だから……じゃ?」 じっと見つめられて、僕は抵抗出来なくなってくる。 「あぅ……。」 「じゃ、また界杜の可愛い顔、見ちゃおうかな。」 「くぅ……ん……。」 系羅に弄られ始めると、身体が反応してしがみついてしまう。 「ケイ……。」 「ん……気持ちいいだろ?カイ。」 背中から僕は抱きつかれたまま、大事な所を弄られ続けてると、 段々と赤いのが見えてくる。 「もうイきそうなのか?やっぱりカイは速いな……。」 「うぅ、だってぇ……。」 更に弄られて、段々と透明な液体が垂れてくる。 「ん……良いよ…イって……。」 「ふあぁん……。ケイ……ぃ……。」 びくっと仰け反ろうとするが、系羅にしっかり抑えられてるから、腰が引けない。 「誰か…来ちゃうよぉ……。」 「良いじゃん……もっと気持ち良くしてあげるから。」 「あぅ……。」 段々僕の理性も飛んで来て、徐々に系羅に身体を寄せていく。 「もう……でちゃうぅ……。」 「ん……もうちょっと待って……。」 「あぅぅ……。ひゃうっ!」 系羅が屈んで前に来た所で、ちょっと顔に白いのが掛かる。 「あぅ……ケイ、ごめん……ちょっとイっちゃった……。」 「むー。帰ったらお仕置きしようか。」 「ぎゃん……ごめんってばぁ……。」 必死に謝ったけど、系羅は許してくれない……。 「じゃあ、こうだ。……ん……。」 「……え、ケイ?ひゃぁぁぁぅっ!」 系羅が座って何かしてたら、いきなり暖かくなって気持ちよくなって…… ……びくびくっと仰け反って、そのまま系羅の口の中に出しちゃった。 って、系羅舐めてる!?飲んでるっ!? 「ケイ!?……飲んじゃったの?」 「うん。旨かった♪」 「あ〜う〜……。」 すっごい恥ずかしい。系羅意地悪……。うぅ……。 ふらふらするし……。頭痛いし。今日授業出来るかなぁ……。 その後、系羅に綺麗にして貰って、シャワー室を出る。 ぐったりしたから、任せちゃったけど……。お尻まで洗わなくても……。 まぁ洗っただけだから良いけどさ。 「界杜……大丈夫?何か疲れてるけど……。」 「ん、あぁ……大丈夫、大丈夫♪」 都馬堵に心配されちゃったので、あわてて答えた。 系羅とあんな事してたなんて言えないし……。 そんな事をぼーっと考えてたら、先生が入って来た。 「えーと、このクラスを担当になった、戸羽と言います。  新任教師ですが……。どうぞよろしく♪」 鼻眼鏡を整え、お辞儀をした後、ターンをすると、軽く羽が舞う。 戸羽先生は、鳥獣人の中でも美形な方らしい。だから、 女生徒はうっとりしやすいみたい。都馬堵は興味無いみたいだけど。 羽を少しだけ舞わせるのが、鳥獣人のエレガントな挨拶なんだとか。 さくっと一人一人自己紹介して、今日の授業は終了。 どうやら校長は、当分学校に来ないみたい。今、放送で言ってた。 ……じゃあ大丈夫かな。他に危ない人居なさそうだし。 「界杜、部活決まったのか?」 「ううん、明日見てから決めるつもり〜。」 「何だ、またサッカー部じゃないのか。」 「ん〜……決まらなかったら、そうなるかも。」 身支度して、系羅、都馬堵と一緒に帰る。 帰る前に米兄を見つけたから、お礼を言って帰った。 今回は米兄が居なかったら危なかったし。あのままだと僕何されてたんだろ……。 考えたく無いから、考えない事にしとこ。 とりあえず帰宅。玄関まで都馬堵を見送る。 系羅と米兄とは、同じ家に住んでるから、帰る家も一緒だけど。 僕の母さんも父さんも、小さい頃から海外で働いてるから、 系羅と米兄のお母さんが、義理のお母さんみたいな感じなんだよね。 こうなった時に『おばさん』って呼ぼうとしたら、凄い睨まれたから、 仕方なく『母さん』って呼ぶ事にしてる。『姉さん』も駄目なんだってさ。 系羅達のお父さんは、仕事で朝から夜中までいつも居ないし、 母さんは夕方から仕事に行っちゃうから、普段は兄弟だけで暮らしてる感じ。 「系羅、疲れちゃったから、ちょっと部屋で寝てるね〜。」 「ああ、解った〜。」 とてとてと2階に上がって、ベッドにぼふっと埋まってそのまま寝た。 ……起きたら、何か夜になってるし。って、また僕、裸になってる!? 「系羅〜。僕の制服とか知らない〜?」 「洗ってる〜。」 「脱がさないで起こしてくれれば良かったのにぃ……。」 「面倒だから却下。界杜寝たら起きないし。」 はぁ……。そのうちそのまま何かされちゃいそうだなぁ……。 段々系羅がエッチになってる気がするし。 眼を擦りながら、夕飯を食べる。今日の当番は系羅だから、僕は何もしてない。 明日は米兄だから……美味しいのが食べれそう♪ 系羅も下手じゃないんだけど、僕には味付けが薄いかな。 僕が作ると系羅は濃すぎって怒るけど。 お腹いっぱいになった所で、少しラジオを聞きながら、ちょっとだけ勉強。 入学式であんな事あったから、なかなか集中出来ない。 ……止めた。あっさり諦めて、ちょっと読書。 コンコン。ドアがノックされた。 「入って良いか?」 「あ、米兄。部活お疲れ様〜。学校ではありがとね♪」 「ああ、いいさ。校長はああいうヤツだから、何かあるとは思ってたしな。」 僕のベッドに座って、米兄が話しかけてくる。 「校長に何もされなかったか?」 「ああ、うん。大丈夫だった……危なかったけど。」 「そうか、ならいいが……。」 珍しく米兄が心配症になってる。僕がお世話になるのが決まった時も、 こんな顔してたなぁ……。どうしたんだろ? 「何かされたら、俺に言えよな?な?」 「う、うん……。」 両肩を掴まれて、しっかり見つめられて言われた。……何なんだろう?? 「何かあったら、俺が……親御さんに申し訳無いからな。」 「あぁ、うん。そだね……。ありがと、米兄。」 「本当は、他にもあるが……」 「……ふぇ?」 何か呟いてたけど、米兄は答えてくれず、そのまま自分の部屋に戻ってった。 ……明日も学校あるし、そろそろ寝ようかな。 電気消して……っと。おやすみなさい。 眠〜い……。何か微妙な時間に起きちゃった。ごそごそとトイレに行って、 部屋に戻ろうとすると……。あれ、何か米兄の部屋が明るい。 こっそり覗くと……。あれ、ベッドで系羅と米羅が何かしてる。 「はぁ……系羅……。」 「兄ちゃん……速くぅ……。」 「あぁ、もう少し待て……。」 んー……何か米兄が系羅に塗ってる。何だろう?? 系羅も米兄もいつもと違う表情だし……。 「いくぞ……ん…くぅ……。」 「あぁ……兄ちゃんのが……入ってくるぅ……。」 二人とも汗まみれだし……というか、入れる雰囲気じゃないや。怖い……。 後で聞いてみようかなぁ。止めた方がよさそうかな? もうちょっと見てようかな……何か興奮してきたし……。 「系羅……イくぞ……っ!」 「んん、兄ちゃん…の…速くぅ……。」 あれ、何か米兄の動きが激しくなってきてる。系羅も気持ち良さそう……。 「はぁ…はぁ…系羅……んん……。」 「兄ちゃん……ん……。」 うわっ、系羅と米兄がキスして抱き合ってるっ!?え、え?どういうこと?? えーとえーと。……分かんないや。何か米兄震えてるし。寒いのかな……。 「はぁ……系羅……。」 「兄ちゃん……気持ちよかった……。ん……。」 嬉しそうに系羅も頬ずりしてるし。何してたんだろう……。まぁいいや。 気付かれない内に部屋に戻ろっと……。 僕はこっそり部屋に戻って、ベッドに潜った。 寝づらかったけど、眼を瞑って横になってたら、そのうち寝ちゃってた。 結局次の日、系羅と米兄には何も聞けなかった。 というか、言っちゃいけない気がして、何も言えなかった。 何してたんだろう……。まぁ、僕じゃないからいいか。 そんな風に自己完結して、僕は朝の準備を始めた。