[ ちょっと大人な牛タン学園:3 ] 「系羅、あがったよ〜。」 「分かった〜。」 ドタバタと階段を下りてくる系羅とすれ違いに僕は部屋に行き、ベッドに横になる。 「……そろそろ一人暮らし、考えた方がいいのかなぁ。」 いつまでも、系羅と同じ部屋使うのも悪いし。二人は全く気にしてないみたいだけど。 「今日の都馬堵の話もあるしなぁ……。」 左手にあるシルバーリングを見つめてみる。 「都馬堵は本当に、僕でいいのかな。僕は……どうなんだろ。」 米羅兄ぃも好きだし、系羅も好き。都馬堵だって好きだし、何だかんだ言って、戸羽先生や、校長先生も好き。だけど、"契りの証"を受けるのとは話が別。 「僕は都馬堵を愛してるのかな……。」 モヤモヤした気持ちに耐えきれなくて、ゴロッと仰向けから横になる。 「……界杜、どうした?」 「系羅。今日さ、あの後、都馬堵に"契りの証"、貰った……んだよね。」 「良かったじゃん。」 「嬉しかったよ、もちろん。だけど、都馬堵の気持ちを聞いて、軽い気持ちで受けちゃダメだなって、あとから気づいたんだ。」 「なら、界杜が決めるしかないな。」 「……そう、だよね。あー、どうしよう。」 ベッドでゴロゴロと暴れてたら、系羅が脇に座ってきた。 「実はさ、界杜。今日の話、最初から知ってたんだよね。都馬堵に相談されてたし。」 僕と一緒にベッドへ仰向けになってから、系羅が呟く。 「それ聞いてさ、都馬堵は凄いなって思って。俺も黙ってちゃダメだなって、今日米兄ぃに告白したんだ。」 「……えぇっ!?」 「そしたら、米兄ぃ……涙流して喜んでくれて。界杜が帰ってくる少し前に、二人でピアス穴空けてきたんだ。」 「……そうだったんだ。」 僕には相談してくれなかったのが、ちょっと寂しいけど。 「だから、俺も自信持って言える。俺は米羅兄を愛してる。米羅兄も答えてくれたし。界杜、界杜は界杜なりに、答えを考えればいいと思う。」 系羅のお陰で、心の中のモヤモヤが、ちょっと晴れてきたかも。 「それに、どう転んだって、俺らは幼なじみで、友達だろ?」 「……うん、そうだよね。」 今更何も変わらないよね。僕と系羅と都馬堵は、友達なんだから。 「じゃ、寝るぞー。」 「系羅、今日はちゃんと寝かせてよね?」 「バーカ。米羅兄に怒られるだろ。お休み。」 「……うん、お休み。」 = 完 =