烙印を押された日。 俺は城を警護する、騎士団長だった。 その日も、あの男が現れ無ければ、 何事も無く終わるはずだった。 「王への謁見? 数ヶ月先になるが、それでもいいか?」 衛兵がそう言った途端、 そいつは謁見の間へ走り出す。 謁見の間の扉が勢いよく開く。 俺は王を守る為、身体を盾に立ち塞がる。 だが、そいつは一瞬で俺の背後に回り、 王を……。そして、俺にこう言った。 「愚かな男。こんな王を据えた国も愚かだ。 この謁見の間で、私の行動を知る者は、お前だけ。」 「覚悟はいいな?」 「……愚かな。」 そいつは、俺をいとも簡単に捩じ伏せる。 そして……"烙印"を付けると、姿を消した。 「愚かな男には、愚かな末路を。」 ――それは、俺と王しか知らないはずなのに。