烙印のせいで殺してしまう間隔が、 最近は長くなり、徐々に普通の生活が 出来るようになってきた。 「ザイさん?」 「……いや、昔を思い出してな。」 頭をかきむしってから、隣りに居る相棒に笑いかける。 「そうだ、ゼラ。」 「はい?」 赤髪の若い男が俺を見つめる。 こいつとは2〜3年くらいの付き合い。 そろそろ有り得ない話でもないから、言ってみた。 「俺が……誰かを手にかける事になったら、どうする?」 「そんなの決まってます。全力で止めますよ。たとえ俺の……。」 「ダメだ!」 「どうしたんですか?らしくないですよ。」 「いや……。その時は、ゼラ。俺を殺してくれ。」 「無理ですよ。」 悲しそうな顔をしたゼラが、俺の側に来て寄りかかる。 「オレ、ザイさんが居なくなるの、 考えられないです。そんなの、絶対にイヤです。 そうなったらオレ、ザイさんを止めます。 オレも……死にませんから。」 言われた言葉に、俺は酔っていたせいか、 涙が溢れてきた。 「……ゼラ、ありがとう。」 寄り添うゼラの温もりが、何だか懐かしくて。 嬉しかった。 ――願わくば、ずっとこのままで。