目を開けると、真っ暗だった。 彼女や、他の人も見当たらない。 部屋を出てみる。冷たい床をアテもなく歩く。 人影を見つけ、近付くと。 ――彼女によく似た人が目を瞑って横になっていた。 いつものように触れてみる。 冷たい。揺らしてみる。起きない。 手を握ろうとすると、ダラリと腕が垂れ下がった。 訳が分からなくて、俺は泣きながら走り出す。 一人、暗闇の中を走り続ける。 我に返ると、もう周りには暗闇しかなく、 戻り方も分からなかった。 目を開けると、いつもの部屋。 彼女も居た。不思議になって、彼女に聞いてみた。 「そう。それは夢よ。現実じゃないから安心……しなさい。」 彼女が悲しそうな顔をしたので、抱き締めてみた。 「……●●、ありがとう。」 彼女の声が、少し震えていた。