ゼラは言った。 「オレ、今までザイさんに頼ってばかりだったです。 でも、今日からは、オレにもほんの少しでいいですから、 頼ってください。じゃないとオレ、 何の為に居るか分からないじゃないですか。」 微笑むゼラ。視線の先には、胸に包帯を巻かれた人影。 「だから、お願いします。早くオレに、 前みたいに色んな事を教えてください……。」 人影からの返事は無い。 だが、命の鼓動は力強く脈打つ。 「……オレ、いつまでも、待ってますから。ザイさん。」 寄り添う赤髪の男。 それに反応するように微かに指が動く。 『俺は、今を生きたい。』 寄添われたザイの背中から、 烙印が消える日は、いつだろうか。 同じ事を、繰り返してるのだろうか。 ――烙印を付けた者は、もういない。 =完=