気付くと、森の中。彼女が倒れていた。 白い部屋も無い。ここは、どこだ? 俺は……誰だ? 当てもなく森を歩く。 白い壁を見つけ、中に入ってみる。 中の施設は老朽化していて、 どれも使えそうに無い。 昨日、今日の話じゃない。 ……時間が経っている? 奥に見えた扉を開けて中を見る。 そこには見慣れた白い壁と、 彼女の使っていた、コンピュータ端末。 端末を操作し、中にあったメッセージデータを開く。 「●●。あなたは……私が蘇生させたの。 本当のあなたは、とっくに死んでる。 姉を庇った時、既に。 私はあなたを蘇生させたくて、今の研究を始めた。 そして、とうとう成功したの。 でも、代償は膨大だった。 あなたに生きて欲しく……て…… 私はあなたの………。」 端末の電源が落ちる。バッテリが切れたようだ。 俺は端末を手近にあったバッグにしまい、外に出る。 外は……すごく明るい。 風と樹々のざわめきが心地いい。 とりあえず分かる事。 彼女は俺を生かす為に。俺は……何の為に? 手掛かりも無い。 彼女も……居ない。 だが、俺は。 ――生き続けなくては。 彼女達に貰った、命で。精一杯に。 =完=