[ キミの居た世界 ] キミハ ナニヲ ノゾンダノ? 倒れた人影。 広がる血溜まり。 犬獣人の白い毛並みが染まっていく。 キミハ ナニヲ ノゾンダノ? 動かない人影。 人影を、空色の毛並みの犬獣人が抱き寄せる。 。 コレヲ ノゾンダノ? 残酷な現実。 無力な自分。 アナタハ ノゾンダノ? ……違う。 だが、結果は。 アナタガ ノゾンダノ? ……違う! 俺は望んでなんかいなかった! アナタガ コロシタンダヨ。 俺は、間に合わなかった。 アナタノセイダヨ。 俺がもっと早く……。 『ワタシハ コノセカイナンテ イラナイ』 俺は、俺はっ……! 『ミンナガ イルナラ ワタシガ イナクナレバイイ』 待ってくれ! なら、俺も一緒に……っ! 『ナニヲ イッテルノ? アナタモ ワタシニハ モウ ヒツヨウナイカラ。』 絶望感。 俺は何の為に……。 『私は、この世界なんて要らない。もう、何も望まない。あなたも、ついてこないで。』 † 何事も無かったかの日常。いつもと同じ朝。 ただ違うのは、一人の獣人が居なくなった事。 それはニュースにもならず、誰にも知られず、俺の中の事実でしかない。 あいつが居た世界。 あいつだけ居ない世界。 ……俺は、どうすれば良かったのだろうか。 = 完 =