[ 願い ] 俺がしてやれる事は、 まだ、あるだろうか。 窓の水滴を眺めつつ、 心の中で呟く。あの二人は、 誰が見てもお似合いだ。 だから、俺が邪魔してはいけない。 俺が、あいつを好きだとしても。 恋愛相談された時、 少しショックだった。 両想いじゃないって、 ハッキリと分かってしまったから。 あいつが帰った後、 一人になった部屋で泣いた。 涙が枯れるまで泣いてから、 俺は、二人を見守る事に決めた。 あいつが、恋人と同棲する話を聞いた時、 少し時間掛かったけど、 おめでとな、と言った自分にビックリした。 あいつの事を、好きじゃなくなったのかと 思ったが、違った。 愛する人に、幸せになって欲しい。 それだけだった。 もう俺は、あいつの傍に 居る事が出来ない。 あいつの笑顔が、 あいつの仕草が、 俺の記憶から離れてく。 俺の居場所も……。 なぁ、頼むよ。 もう少しだけ。 あと少しだけで、いいから。 あいつの事を、守らせてくれよ――