[ 喫茶店 ] 曇り硝子。 悪戯に指で絵を描く。 描いた絵がヘタクソで 苦笑いしながら急いで消した。 あなたはまだ来ない。 もう、一時間。 やっぱり俺の事は、 遠い、過ぎた記憶でしか なかったのかな。 ――不意に雨音が走ってくる。 喫茶店の扉が勢いよく開く。 「○○っ!」 あぁ、久しぶりに声が聴けた。俺はもう、それだけでいいのに。 ずぶ濡れの体で、 力強く抱きしめられた。 「……寒いよ。」 「悪ぃ。」 でも、嬉しい。 = 完 =