(……何人だ?) 声を聞く限り、3〜4人という所か。ちょびも警戒したまま俺から離れない。 「……ここか?竜使いは。」 呟いた直後、部屋のドアと窓から2人づつ入ってくる。俺は剣を抜き、窓から来た二人を 抵抗出来ない程度に身ぐるみを剥いでおく。 「…Ключ раскрын.」 俺が呟くと、ちょびは翼を広げる。すると、身体から白い透明な「ちょび」が出てきて、 ドアの二人を抑えつける。 「…ちっ。」 「何しに来たんだ?お前ら。」 「…しょうがねぇ、引き上げるぞ!」 窓の二人が逃げたところで、ちょびに放すように言う。どうせ、夜盗だろう。 (…やっぱり狙われる対象なんだな…) ちょびを撫でて、おとなしくさせながら考えていた。 基本的に竜使いと竜で、一個小隊並の力はある。それ以上は竜使いの技量次第だが…。 だからこそ、竜使いと竜を手に入れたいという輩も居るのだろう。 俺は早々に用事を済ませる事にする。もともと長居する予定ではなかったし。 次の日。 俺は国王に謁見し、親書を渡す。竜使い組合から頼まれたものだ。 内容は知らないが、国王の様子からして、悪い知らせでは無いのだろう。 「旅華。そして竜よ。」 「…はい。」 「友を探してるらしいな。蒼黒種の竜使いを。」 「はい。何かご存じでしょうか?」 …どうやら、俺の事も書いてあったらしい。 「我が国では、そのような竜は見たことが無い。 残念だが、協力出来そうなのは食料と資材くらいだ。すまんな。」 「…いえ、ありがとうございます。」 礼をして、俺はちょびと一緒に下がる。ちょびはまだよくわからないようで、 俺の肩で首を傾げている。 (残念、収穫無しか……。正直、物資の補給が出来るだけでも有り難いが…。) 携帯食料等を少し分けて貰い、俺は出国の支度を整える。 ほどなく、俺は出国手続きをして、雪の国を出た。 本当はちょびに乗れれば旅も楽なのだが、まだまだ先の話だ。 「…次は、春の国に行ってみるか。ちょび、行くよ。」 「キュ♪」 荷物を抱え直し、俺はちょびと旅を続ける。